生活習慣病の発症や重症化の予防を目的とした新しい健診です

脱メタボを目指しましょう

糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、高脂血症などの生活習慣病の患者は年々増加し、現在では国民医療費のおよそ30%を占めるにいたっています。

これらの生活習慣病は個々の原因で発症するというよりも、肥満、特に内臓に脂肪が蓄積した肥満が犯人であると考えられています。

内臓脂肪蓄積により、さまざまな病気が引き起こされた状態をメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)とよび、注目されています。

当サイトでは国のメタボリックシンドローム対策の柱として、企業の健康保険組合や国民健康保険を運営する市区町村などに採用が義務づけられた特定健康診査を解説しています。

特定健康診査とは?
健康保険法の改正によって、2008年4月より40〜74歳の保険加入者を対象として、全国の市町村で導入された新しい健康診断のことです。テレビや新聞などでは「特定健診」や「メタボ健診」という名称で呼ばれることが多くなっていますので、正式な名前には馴染みがない方も多いかと思います。

この特定健康診査は、糖尿病や高脂血症、高尿酸血症などの生活習慣病の発症や重症化を予防することを目的として、メタボリックシンドローム()に着目し、この該当者及び予備群を減少させるための特定保健指導を必要とする者を、的確に抽出するために行うものです。

メタボリックシンドローム…内臓脂肪型肥満と糖質や脂質などの代謝異常、または高血圧が合併した状態。心臓血管系の病気の引き金となるため、注目されるようになりました。

特定健康診査項目

多くの人が気になるのはやはり腹回り?
  1. 問診(生活習慣、行動習慣)
  2. 診察(理学的所見)
  3. 身体計測(身長、体重、腹囲、肥満度、BMI)
  4. 血圧測定
  5. 血液検査(中性脂肪HDLLDLコレステロールGOT・GPTγ-GTP血糖HbA1c
  6. 尿糖尿タンパクの有無の検査
  7. 医師の判断で選択的に実施する項目…心電図貧血検査眼底検査

検査内容は上記の通りです。従来の健診との比較では、腹囲が追加されており、男性が85cm以上、女性が90cm以上の場合、メタボリックシンドロームの基本要件を充たすこととなります。

血液検査ではLDLコレステロール、HbA1c(グリコヘモグロビン)が必須項目として新たに追加され、総コレステロールが削除されています。胸部X線や喀痰検査が削除され、メタボに特化している点も注目されます。

従来の健診では、医療機関ごとに検査法、検査機器、試薬などの違いにより基準値や健診判定値の違いがあり、異なる健診機関のデータを比較することが出来ませんでした。

しかし、この特定健康診査では実施した健診機関を問わず保険者はデータを一元管理し、リスクの高いものから優先的に保健指導を行うことが求められており、検査測定値の標準化を行うことが出来るようになっています。

異常が見つかったら特定保健指導
メタボリックシンドロームの診断基準に沿って複数のリスクを持つ受診者に対しては、医師、保健師、管理栄養士などによる特定保健指導が行われます。病気の人を拾い上げるのではなく、これから病気になりそうな人を抽出して医療関係者が早期に介入することが主眼となっています。

特定保健指導の内容は、受診者の状態に応じて、対面や電話、電子メールによる動機づけ支援(原則1回の指導)、積極的支援(3ヶ月から6ヶ月の継続的な指導)となっています。
なお、保健指導対象者の選定方法は以下の通りです。

ステップ1:腹囲とBMIで内臓脂肪蓄積のリスクを判定
腹囲:男性は85cm以上、女性は90cm以上 → (1)
腹囲:男性は85cm未満、女性は90cm未満、かつBMIが25以上 → (2)

ステップ2
1.血糖…空腹時血糖値が100mg/dl以上またはHbAicが5.2%以上または薬物治療中
2.脂質…中性脂肪が150mg/dl以上またはHDLが40mg/dl未満または薬物治療中
3.血圧…収縮期が130mmHg以上または拡張期が85mmHg以上または薬物治療中
4.喫煙歴あり

ステップ3:ステップ1、2から対象者をグループ分け
(1)の場合:1〜4のうち、2つ以上該当で「積極的支援」、1つは「動機づけ支援」を行う。
(2)の場合:1〜4のうち、3つ以上該当で「積極的支援」、1〜2つは「動機づけ支援」を行う。

ステップ4
65歳以上75歳未満の場合は、積極的支援の対象でも動機づけ支援とする。
降圧剤などを服薬中の人は、医療保健者による特定保健指導の対象としない。
医療機関では、生活習慣病管理料、管理栄養士による外来栄養食事指導料、集団栄養食事指導料などを活用することが望ましい。

メタボになると体にどんな悪影響がでるのか?
私たちは、主に飲食物で摂取した糖質をエネルギーとして使用しています。エネルギーを過剰に摂取した場合には、脂肪に作り変えて、皮下脂肪や肝臓に蓄えますが、内臓脂肪としても蓄えられています。

動脈硬化を悪化させます

内臓脂肪が増加すると、血液中に分泌される中性脂肪とLDL(悪玉)コレステロールが増加し、逆にHDL(善玉)コレステロールが減少しやすくなります。

また、内臓脂肪が増加するとアディポサイトカインと呼ばれる物質が異常に分泌されます。アディポサイトカインには体に良い作用をするものと、悪い作用をするものがありますが、内臓脂肪が増えると悪い作用をするタイプが増えてしまいます。

そのため、インスリンの働きが低下して血糖値が高くなったり、動脈の傷の修復を妨げたり、血圧を上昇させたり、血栓ができやすくなるなど、動脈硬化を進行させてしまうのです。

医師から「メタボ」と診断されても、必ずしもそれが治療の要する病気であるということではありません。勿論、血糖値、LDLコレステロール、中性脂肪、血圧が基準値を超えていれば、糖尿病、資質異常症、高血圧などの病気ですので、医師の判断に従って、必要あれば治療を受けることになります。

特に治療が必要でないと診断されても、それは病気の一歩手前の段階にあると認識すべきです。病気でなくても、食事の改善、適度な運動、ストレスの解消などによる生活習慣の改善に努めなければ、動脈硬化を進行させて血管の老化を早め、近いうちに生活習慣病となるからです。

肥満から始まる生活習慣病の連鎖反応(メタボリックドミノ)
腹囲が85cmを超えた瞬間に、健康体が一転して病気を発症することはありませんが、太り始めたそのときからメタボの歯車は着実に回り始めているのです。

メタボは互いに関連しており、どんな順番で発生するかも解明されています。これを捉えたのが「メタボリックドミノ」という考え方です。肥満から高血圧、脂質代謝異常、糖尿病、動脈硬化が連鎖的に起こり、最終的には心筋梗塞や脳梗塞のような脳・心血管系の病気で倒れるまでの流れが、ドミノ倒しに似ていることからこのように命名されました。

そのまま放置してドミノ倒しが進んでしまうと、コマが1つ倒れるたびにいろんなコマが同時に倒れて手が打ちにくくなります。診断基準以下だからと安心しないで、普段から肥満に気をつけるなど、自分の立ち位置を常に意識しましょう。

Copyright(C)2015 特定健康診査ナビ All Rights Reserved