大腸がん
大腸粘膜に発生する悪性腫瘍で、発生する部位によって「結腸がん」と「直腸がん」に分けられます。がんのできやすい場所は直腸とS状結腸で、全体の70%を占めるにいたっています。
近年、国内で急増しており、その背景には欧米型の動物性脂肪に偏った食生活、運動不足、喫煙などが原因と考えられています。それを裏付けるように脂肪摂取量の減少、運動の普及、喫煙率の低下が浸透しつつあるアメリカでは、逆に大腸がんの発生率は低下しているのです。
大腸がんの症状
がんが小さいうちは自覚症状はありませんが、ある程度大きくなると、腸管の中が狭くなって便通が妨げられます。このため、便秘、残便感(トイレのあともまだ便が残っている感じ)、便がエンピツ状に細くなるといった症状が現れてきます。
なんとか便を押し出そうとして、大腸の働きが活発になり下痢を起こすこともあり、便秘と下痢を繰り返す便通異常となることもあります。さらに進むと、がんから出血して下血や血便、それにともなう貧血などがみられるようになります。
これらの自覚症状が現れるのは、S状結腸や直腸といった肛門に近い部位にがんが発生した場合で、肛門から遠い盲腸や上行結腸にがんができた場合には、これらの症状はほとんど現れません。
大腸がんの検査
家族の中に大腸がんになった人がいる、長期にわたって潰瘍性大腸炎を患ったことがある、大腸ポリープになったことがある、偏った食生活をしている…などはリスク因子となりますので、定期検診が必要となります。
スクリーニング(ふるいわけ)検査として、便の中に肉眼では見えない血が混じっていないかを調べる便潜血反応検査が行われます。下部直腸がんには、医師が肛門から直接指を入れて確かめる直腸診が有効です。
診断は、下部消化管X線検査(いわゆるバリウム検査)と内視鏡検査によって行われます。特に、内視鏡検査では、ポリープ上のがんが見つかった場合にはその場で切除する(ポリペクトミー)が可能です。
また、腹部超音波や胸部X線撮影、CT、MRIなどはリンパ節やほかの臓器への転移の有無を調べる際に欠かせません。
大腸がんの治療
治療の原則は、がんの病巣を残さず、全てを取り除くことです。近年では、内視鏡や腹腔鏡などの器具を用いた手術が行なわれており、早期のがんであれば、回復することなく体の内側からがんを切除できるようになっています。
内視鏡を用いてがんを切除する方法には、ポリープ状に盛り上がっているがんを内視鏡の先端から出したループ状のワイヤーで締め付けて、焼き切る「ポリペクトミー」、平坦ながんの粘膜下に生理食塩水を注入して盛り上がらせて、ポリペクトミーと同様に焼き切ってしまう「内視鏡的粘膜切除術」の2つのタイプがあり、がんの形によって使い分けれられます。
一方、進行がんの第一選択は開腹手術となります。また、リンパ節転移を伴う場合は抗がん剤を投与することが効果的です。とくに再発率の高い直腸がんでは、抗がん剤のみならず放射線療法の併用を行なうこともあります。