働き盛りの年代を前触れなく襲う脳卒中

脳には多くの血管があって、脳の組織はこれらの血管に送られてくる血液から、酸素と栄養素を供給されて活動しています。ところが、脳の血管が詰まったり、破れたりすると、その部分に応じて、麻痺やしびれ、言語障害などの症状が現れてきます。これを脳血管障害と呼び、突然起こるのが脳卒中です。脳卒中は、その起こり方で脳出血、くも膜下出血、脳梗塞などに分かれます。

脳卒中について

脳出血
高血圧や動脈硬化などが原因となって脳の血管が弱くなるために起こります。
出血する部位によっても症状は違ってきますが、ふつう気分が悪くなり、頭痛、めまい、嘔吐などの症状が現れます。数時間後に片方の手足の動きが悪くなり、ちゃんとしゃべれなくなります。

麻痺が起きるのは左右の脳で出血のあった側の反対になります。意識障害は出血部位が大きいほどひどくなり、24時間以上昏睡するととても危険です。

治療は、症状によって薬剤使用を中心とする内科的治療と手術する外科的治療に分かれます。症状が落ち着けばリハビリテーションで機能回復をします。

くも膜下出血
脳は内側から軟膜、くも膜、硬膜という3つの膜(脳脊髄膜)で覆われていますが、このうち、軟膜とくも膜の間の隙間である「くも膜下腔」に出血してくるのが、くも膜下出血です。
中高年の突然死や過労死の大きな原因となっていますが、脳梗塞や脳出血が中高年以降に起こることが多いのに比べ、くも膜下出血は20〜30歳代でも発症することがあります。

何の前触れもなしに突然、激しい頭痛に襲われ、続いて吐き気や嘔吐がやってきます。頭痛は数時間ほど続いて首の筋肉がこわばってきます。顔や手足のまひや知覚障害はそれほどでもありません。意識障害があらわれる場合もあり、出血が多くて昏睡が長く続けば重症で、そのまま意識が戻らずに亡くなることも少なくありません。

また、発症後3週間以内に脳動脈が急に収縮することがあります。この脳血管攣縮があれば意識定価や運動まひがおきたり、脳梗塞になることもあります。

くも膜下出血に対する内科的治療と、脳動脈瘤の再破裂を予防するための外科的治療が必要です。外科的治療には、開頭手術を行ない、直接破裂した動脈瘤を観察して、本来の脳栄養血管から遮断する方法(開頭クリッピング術)や、血管内にカテーテルを通して金属コイルを破裂した動脈瘤内に充満させ、本来の脳栄養血管から遮断する方法(脳動脈コイル塞栓術)があります。

脳梗塞

脳梗塞は脳の血管がつまり、その先へ血流が流れなくなる病気で、近年は、アテローム血栓性梗塞症、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症の3つに分類するされます。脳梗塞の症状が起こっても20分〜24時間以内で自然におさまってしまう一過性脳虚血発作もあります。

脳に血管を送る太い動脈の内壁にコレステロールなどが染み込んで、お粥のようなかたまり(アテローム)が生じ(粥状動脈硬化)、それによってできた血栓によって血管内腔がふさがる場合(アテローム血栓性梗塞症)、太い動脈から枝分かれした細動脈の血管が高血圧などで変性して動脈硬化が起こり、そこに血栓がつまって起こる場合(ラクナ梗塞)、心臓などでできた血栓が、血流に運ばれて脳の血管をつまらせる場合(心原性脳塞栓症)などが原因です。
高血圧糖尿病高脂血症、肥満などが危険因子と考えられています。

アテローム血栓性梗塞症では、麻痺などの運動障害やしびれなどの感覚障害、意識障害、思うように話せないなどの症状が現れます。ラクナ梗塞においても、顔面や手足のしびれ、軽い麻痺などが起こりますが、言語障害や意識障害に陥ることはほとんどありません。

心原性脳塞栓症は突発的に起こるものがほとんどで、症状も突発的に現れ重くなりがちです。身体の片側に麻痺や感覚障害がみられるほか、失語などの症状を示したり、意識障害をともなうことも少なくありません。

CTやMRIなどの画像検査を行なった上で治療方針が決められます。原因や発症後の経過時間などによって、治療法は異なりますが、急性期は血流を早く再開させるための血栓溶解薬、梗塞層が広がらないようにするための抗凝血薬、抗血小板薬、脳を保護する脳保護薬などで治療します。

慢性期は、高血圧症、高脂血症、糖尿病、心臓病などをコントロールする薬物療法や、ときには手術を行なうこともあります。重い後遺症を残さないようにするためには、入院直後からリハビリテーションを開始することが重要です。

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