高血糖を放置していると重大な合併症を併発する恐れ

血液中のブドウ糖のことを血糖といいます。血糖は血液を通して全身の細胞に送られ、私たちの生命活動を維持するためのエネルギー源として利用されています。血糖はインスリン、グルカゴン、甲状腺ホルモンなどで調整されており、健康な人ではこの血糖値は一定の値に保たれています。

血液を採取して自動分析器にかけます

血糖値の検査で何がわかるのか?
膵臓から分泌されるインスリンというホルモンには、血糖値を一定に保つ働きがあるのですが、インスリンが減少すると、血液中のブドウ糖が利用できなくなり、慢性的に血糖値が上昇した状態になります。これが糖尿病です。

糖尿病になると、ブドウ糖を利用できないために空腹感が増し、益々食べるようになり、それでさらに血糖が増えるというように悪循環を繰り返します。

そしてあふれた血糖は尿の中にまで出て尿糖になります。こうした高血糖の状態が続いていると、やがて血管の内側が傷つき、全身の動脈や毛細血管にさまざまな障害を及ぼし、動脈硬化を進行させてしまいます。

そのまま放置していると失明の危険性のある糖尿病性網膜症、腎機能の低下(人工透析)、心筋梗塞、脳梗塞といった重大な合併症を併発していくことになります。

糖尿病の人は健康な人に比べて脳梗塞や心筋梗塞、狭心症の発症リスクが2〜3倍も上昇するとされています。

治療を怠ると生命の危険を招く恐れのある糖尿病の診断に欠かせないのが、特定健診の検査項目の一つである血糖値の検査です。

血糖値の検査はどのように行なわれるのか?
検査は9時間以上絶食したあとの空腹時に血液を採取して、自動分析器にかけて測定します。空腹時の数値を測るため「空腹時血糖値」といいます。一般には検査前日の夜から飲食を控え、翌日の早朝に採血します。

医療機関での採血の様子

一方、食後に測った数値は「食後血糖値」と呼ばれます。食後血糖値の場合は、食事は何を食べたのか、食後どれくらい経過しているのかをきちんと伝える必要があります。

基準値

  • 空腹時血糖…70〜109mg/dl
  • 食後2時間血糖…140mg/dl未満

血糖値は正常な場合でも食事の前後で数値は異なります。食事をとると炭水化物が吸収されてブドウ糖になって血液中に出てきますから、食後の血糖値は食前よりも高くなります。

検査結果の見方
通常、空腹時血糖値が126mg/dl、あるいは食後血糖値が200mg/dlを超えると糖尿病と診断されます。境界値(空腹時血糖値が110〜125mg/dl、食後血糖値が140〜199mg/dl)の場合は、さらにブドウ糖負荷試験を行います。

血糖値の基準値

糖尿病以外の病気(甲状腺機能亢進症、先端肥大症、クッシング症候群など)でも血糖値は高値を示します。また、膵臓や肝臓の障害で高値を示すこともあります。過度のストレスや肥満でも高値となります。

逆に血糖値が70mg/dlに満たない低血糖の場合は、インスリンノーマという膵臓に腫瘍ができる病気が疑われます。そのほか糖尿病の治療薬の影響で低値になることもあります。

糖尿病の発症には生活習慣が大きく関与
血糖(血液中のブドウ糖)を調整するホルモンであるインスリンが不足あるいは十分に働かなくなって、慢性的に高血糖状態が続く病気が糖尿病です。

代謝・内分泌科の医師

厚生労働省の「平成26年患者調査の概況」によると、国内の糖尿病の患者数は約316万人となっており、予備軍の人も合わせると約2,000万人もの人が血糖値に問題を抱えていることになります。

糖尿病には、自己免疫によって膵臓の細胞が破壊されインスリンがほとんど分泌されなくなる「1型糖尿病」と、主に成人に多く発症する「2型糖尿病」があります。日本人の糖尿病の95%以上は後者の2型糖尿病です。

2型糖尿病の発症には遺伝的素因のほか、乱れた食生活、飲酒、喫煙、運動不足、肥満、過度のストレスなどの生活習慣が大きく関与しており、血糖値の適正なコントロールには1日の摂取エネルギー量を考えた食生活、体力に応じた適度な運動(ウォーキング、サイクリング、水泳などの有酸素運動)が欠かせません。

血液中のブドウ糖をエネルギーとして効率よく使うためには、膵臓から分泌されるインスリンの働きが欠かせません。しかし、肥満の人は脂肪細胞が肥大化してインスリンの働きが低下(インスリン抵抗性)して、血糖値が上昇してしまいます。したがって、BMI(肥満指数)が25以上の人はダイエットが必要です。

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